2009年9月18日金曜日

アジア商業中心


久しぶりにアメ横に行った。JR御徒町駅で電車を降りてホーム中ほどの階段を下り、北口改札を抜けて左側に出るとそこはアメ横商店街の入り口だ。不景気とはいえ、週末なので商店街は大勢の買い物客でにぎわっており、人込みを縫うように上野方向に向かった。

200mほど歩くと、左側に外壁がシルバーメタリックの大きなビルが見えてくる。地上5階・地下2階建のビルで、昭和58年に完成した。ビル名はアメ横センタービルという。

中に入ると地上階は衣料品、宝飾品、スポーツ用品などの店が多数入居しているが、活気に満ちた表通りに比べるとお客は少ない。

ここの地下フロアーは地上階に比べて面積が狭く、3分の1くらいしかない。そこに肉類や魚などの生鮮食品や各種の加工食品などを扱う店が10数店ほど入っている。                    

『なーんだ、これだけ』と言うほどの広さだが、なぜかそこには不思議な活気とエネルギーに満ちている。その秘密は4軒ほどある各種加工品を扱う店とそこを目当てにやってくるお客の顔ぶれにある。

この4軒が扱っているのは、中国、韓国、タイ、フィリピン、インドネシアなどアジア各国の多様な食材、調味料、飲料などだ。日本人客も訪れるが、週末ともなると東京で暮らすアジアの人々が大勢やってくる。                                                           
しかもこの4軒に限らず、同じフロアーの魚屋などにも中国人とおぼしき店員がいて、中国語や少し変な日本語で客の相手をしている。

年配の女性客が商品を指さしながら中国語で何やら叫ぶ。若い中国人の店員が大声で答える。フィリピン人らしきお客が中国人の店員と、助詞のない少し怪しげな日本語でなにやら話している。     

似たような光景はフロアーのそこここで繰り広げられている。あたりに漂う匂いも街中の食料品店とは違うし、商品の色彩もカラフルでにぎやかだ。  

フロアー全体でも百坪くらいかなという、決して広いとは言えないビル地下の商空間だが、そこにはさながら東京のアジア生活商業中心といった趣がある。                              

ところで、現在わが国の社会は少子高齢化が猛烈な勢いで進んでいるが、もしこのペースが今後とも続くとすれば、将来のわが国は、経済活動や社会機能を維持するために、アジアの国々を中心とした海外から大量の出稼ぎ労働者や移民労働者を呼び込まざるを得なくなるだろう。             

直感的に言えば、2030年代には、東京圏に限っても200万人近い外国人労働者が、アジア各国から流入しているのでないだろうか。                                          

その時、上野・御徒町一帯は、週末ともなれば何万人というアジアの人々が、食材や日用品を求めて、或いは同胞との出会いや語らいを求めて集まり、あたかもアジア商業の一大テーマパークのような場所になっているのかもしれない。