2009年11月30日月曜日

デフレ

政府は日本経済がデフレ化しつつあると言う。
確かに、街に出て、お店にある商品を見ると低価格のものがやたらと目につく。

今や個人も、法人も、政府も、名目価格が上昇し、売上高も給料も税収も増える適度な?インフレを望んでいる。だから名目価格が下がってしまうデフレ経済の到来などと聞くと、ほとんどの人が『やれやれ困ったことだ』とうんざりする。

そりゃそうだ。個人も法人も政府も、われわれはみな名目価格で暮らし、経営し、行政活動をしているのだから。

ところでドルベースの原油価格は、一時のバーレル30ドル台が今や70ドル前半にまで上昇しており、専門家は今後さらに上がっていくだろうと予測している。早い話が中国とインドとブラジルがものすごい勢いで石油製品を消費し始めたからだろう。

原油価格が値上がりすると、まずはガソリン、灯油、ナフサ、軽油、重油などの石油製品の値段が上昇するが、ほとんどの場合、共連れでLNGやLPGの価格も上昇するから、結果電力料金やガス料金が値上がりする。

石油製品の値上がりや電気・ガス料金の値上がりは、物流費、交通費、空調費などの価格を引き上げ、鉄鋼、非鉄金属、石化製品などの価格を引き上げる。そして、まわりまわって最終的にわれわれの日常生活に必要な様々な財やサービスの価格を押し上げる。

しかしこうした中でもサラリーマンの給料やボーナスは、まず間違いなく据え置きか更なる引き下げとなるだろうから、消費者の暮らしはむしろ悪くなり、必然的に購買力も増えない。

このように考えると、これからの最大の経済問題は、デフレ経済の進行などではなく、生活者の収入や所得がむしろ減っていくのに、物価だけはじわじわと上がっていくという点なのではないかと思えてくる。

いずれにしても庶民にとっては『やれやれ』と『とほほ』の日々が続きそうである。