2009年7月27日月曜日

桜町オオタ商店


我が家からブラブラ歩いても3分足らずのところにオオタ商店はある。昔風に言えばよろず屋といった感じの個人商店で、店の広さは平均的なコンビニくらい。

新鮮な野菜、パック入りの肉類、豆腐やコンニャク、レトルト食品、カップ麺、乾物、菓子、酒、たばこ、弁当、おにぎり、パン、トイレットペーパー、不祝儀袋などを置いており、我が家では結構重宝している。

もう2分ほど歩くと大手のコンビニがあるのだが、我が家からはほんの少し遠い点やタバコを置いていないなどの理由から、最近はオオタ商店に行くことの方が多い。今日もさっき行った。

自分がこの街に引っ越してきたのは今から40年近く前で、その時オオタ商店はすでにあったから、今の場所でかれこれ40年間くらい商売をしているのだろう。個人商店受難の時代なのに立派である。

実は、自分がオオタ商店をよく利用するのはもう一つのワケがある。それは店の運営スタッフ。年配の老夫婦と彼らの息子夫婦の4人で運営しているのだが、中でも年配の大奥さんがなかなか良い。

明るくて、愛想がよくて、親切で、おまけにテキパキと手際が良い。まさに『あるべき日本のオバちゃん』といった感じなのである。

大奥さんがレジをやっている時に商品を持っていくと、『暑いわねー。今日は飲料がすごく出るわよ』とか、『本当に寒くて嫌になっちゃう』とか、ほんのひと言か二言だが話しかけてくる。

で、こちらも『こう暑いと全然動く気がしないよ』とか、『本当、今週になってからやたら寒いね』などと言葉を返し、『じゃあね』と言って店を出る。背中に『ありがとうございました』という明るい声が響く。

これが大手のコンビニだとこうはいかない。
レジにいるのは大抵アルバイトの学生かフリーターの若者で、客と交わす会話と言えば『箸つけますか』、『温めますか』、『千円からでいいですか』の3つくらい。で、客のほうも 『あー、つけて』、『温めて』、『うん』の3つだ。

東京郊外のコンビニなのでバイトといっても同じコミュニティの住民である可能性が高い。事実、私服姿で歩く彼らと近所ですれ違うこともある。もちろん彼らは挨拶も会釈もしない。それどころか目をそらす。

それにしても不思議なのは、この世代は同じコミュニティの住民には会釈すらしないのに、mixiなどネット上のコミュニティサイトだと、会ったことも見たこともない相手とお互いの悩みごとを相談したり、人気タレントの話題などで盛り上がったりする点だ。

時代の変遷とともに、コミュニティという言葉の概念や意味合いが変わり始めたのかもしれない。

2009年7月26日日曜日

残してほしい郵便ポスト


日曜日の午前中なので家でゴロゴロしていたら、暑さのせいか急になんか冷たいものが飲みたくなった。で近くのコンビニに清涼飲料を買いに行った。

コンビニには車が四台ほど止められる小さな駐車場がある。そして駐車場の前の歩道部分には郵便ポストが設置されている。最近の標準タイプの四角い金属製のやつではなく、昔ながらの鋳物だか瀬戸物だかで作られた丸いやつだ。

くびれのない寸胴の胴体の上には丸い帽子のような屋根というか天蓋が乗っかっていて、胴体には横長の四角い投函口が少し間抜けな感じで口を開けている。

投函口の上にはまるで学生帽の鍔のような庇が付いているので、まるで学生帽を目深にかぶって突っ立っている寸胴の人間のようでもある。

雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も直立不動でじっと立っているその姿は、実直で律義で真面目な番兵のようにも見えてくる。

全体は神社の鳥居の朱色に似た赤いペンキが塗られているから、街中でも案外存在感がある。少し距離を取って見ると、そのたたずまいは「オールウェイズ三丁目の夕日」的でなかなか味わいがある。

道路拡幅によって、街並みが鉄とガラスとコンクリートが織りなす直線的で無機的なものへと変化していくなかで、なんとなく時代から取り残されたような、でもなぜかほっとした気分にさせる昔ながらの赤い丸い郵便ポスト。

懐古趣味かもしれないけれど、これからも残してほしいと思ってしまう。

こういう赤い丸いポストには、本文も宛名もパソコンで打ち込み、プリンターで印刷したような郵便物ではなく、心を込めて自筆でしたためた手書きの封書や葉書を投函したくなる。

2009年7月24日金曜日

デジタル時代をゆっくり生きる

 昼過ぎ、駅近くの都市銀行の支店に行った。平日の午後という時間帯のせいなのか、お客の約半数が定年年齢をとうに過ぎた高齢者で占められていた。

 今の時代、高齢者といえども現金の引き出しや預け入れはもちろん、振り込みなどもATMで行う人がほとんどだ。当然、若い人達のようには素早くサクサクと画面操作や確認ができない人が多い。ましてや入力項目や確認項目の多い振り込み等の操作となるとなおのこと時間がかかる。

 自分が列に並んだ時は、偶然なのか週末の24日という日付のせいなのか、ATMを操作している人達のほとんどが振込みを行っている感じで、しかも全員がかなり高齢な男性客と女性客。結果、ATM前の行列は遅々として進まず、急いでいた自分は正直イライラのしどうしであった。
 
 最寄駅まで行くのによく使うバスでのシーン。車内に次のバス停案内のアナウンスが流れ「つぎ止まります」ランプが点灯した。バス停に着いたのでバスは止まりドアが開いたのだが、なぜか誰も降りようとしない。

 おやっ、誰か間違って「止まります」ランプを押したのかなと思ったその時、他の乗客の合間を縫いながら後ろのほうからゆっくりと出口ドアに向かう老人が一人。ドア脇の握り棒をしっかりとつかみながら慎重に地面に降り立ち、去っていった。

 デジタル社会の到来とともに、現役世代のサラリーマン達は以前にもまして スピーディで高効率な仕事を求められている。しかし、その一方では頭も体も若いころのようには素早く正確に反応できなくなった高齢者達が、時に指さし確認を行い、時に小さな失敗や間違いを繰り返しながらゆっくりとマイペースで日常生活を繰り広げる。
 
 世界に類を見ないスピードで進む我が国の少子高齢化の進行は、全体として世の中の動きを緩慢でスローなものにしていくに違いない。スローライフの薦めなどとあえて言わずとも、ほっておいても自然とそうなるのが我が国の近未来社会であるのは間違いなさそうだ。

2009年7月23日木曜日

SOHOとファミレスの関係


今日もデニーズに行った。遅い昼飯をとり、コーヒーを飲みながら仕事関係の本を読んだ。
 平日の昼間、ランチタイムを外した午前中や午後に郊外のファミレスを訪れてみよう。
 男性の一人客がテーブルの上に資料を広げてなにやらメモを書いていたり、ノートPCで何かを検索していたり、熱心に本を読んでいるシーンを見かけることが少なくない筈だ。
 彼らの多くは個人事業者や自由業/自営業の人たち。ファミレスを一時的な仕事場や読書場として使っているのである。個人事業者のはしくれである自分もファミレスを仕事場として度々利用する。
 「新しい企画を考える」、「原稿の下書きや校正をする」、「資料を読み込む」、「クライアントや仕事仲間と打ち合わせをする」・・・・、そういう場所としてファミレスはなかなか重宝である。
 まず第一にテーブルが大きくて広い。椅子がゆったりとして楽ちんである。喫煙席ならタバコも遠慮なく吸える。誰かに用事を頼まれることもない。売り込みの電話はかかってこない。しかもコーヒーはお代わり自由で腹が減ったら食事もできる。
 ぜいたくを言えば、あとはコピー機があって、テーブルの上にインターネットのポートと電源があって、個人用に使えるロッカーがあって、供用のシャワールームでもあれば最高だ。
 さて、ここでデニーズ、ロイヤルホスト、ジョナサンという3大ファミレスの特徴を、SOHOの仕事場という観点から論評してみる。
≪ デニーズ≫
 パステルカラー調のインテリアと豊富な照明器具のせいでともかく店舗内が明るい。よって、細かな字の資料や本を読み込むのに適している。コーヒーはお代わり自由で、しかもドリンクバー形式ではないため、いちいちコーヒーをつぎに行く必要のない点もありがたい。
≪ロイヤルホスト≫
 他の二店に比べると雰囲気的には少し気取っており、価格もやや高めだ。内装材のせいか店内の騒音がそれほど響かず、静かな点がありがたい。集中して企画を練る、原稿を書くなどに向いている。リピーターはしばしばロイホと呼ぶ。
≪ジョナサン≫
 3店舗の中では最も庶民的な雰囲気がある。ドリンクバーが充実しており飲料の種類も多い。他の2店に比べて喫煙席の数が多い点が特徴だ。いつもタバコの離せない愛煙家の仕事人にはうれしいレストランと言える。
 ファミレス側からすれば、コーヒーやパスタ程度で延々とねばるSOHO客はあまり歓迎しないのかもしれない。けれども、これらのSOHO客は最低でも週に一回、多い人は毎日利用する常連客である。
 つまりファミレスにとってSOHO客とは店に対する忠誠心の高いお客様、すなわちロイヤルゲスト=ロイゲなのである。
 少子高齢化がますます進み、女性の社会参加が常態化している今日この頃、ファミレスの一部はSOHO客やビジネス客のための様々なサポートサービスを売り物とした新業態レストランへと転換するかもしれない。