2009年7月24日金曜日

デジタル時代をゆっくり生きる

 昼過ぎ、駅近くの都市銀行の支店に行った。平日の午後という時間帯のせいなのか、お客の約半数が定年年齢をとうに過ぎた高齢者で占められていた。

 今の時代、高齢者といえども現金の引き出しや預け入れはもちろん、振り込みなどもATMで行う人がほとんどだ。当然、若い人達のようには素早くサクサクと画面操作や確認ができない人が多い。ましてや入力項目や確認項目の多い振り込み等の操作となるとなおのこと時間がかかる。

 自分が列に並んだ時は、偶然なのか週末の24日という日付のせいなのか、ATMを操作している人達のほとんどが振込みを行っている感じで、しかも全員がかなり高齢な男性客と女性客。結果、ATM前の行列は遅々として進まず、急いでいた自分は正直イライラのしどうしであった。
 
 最寄駅まで行くのによく使うバスでのシーン。車内に次のバス停案内のアナウンスが流れ「つぎ止まります」ランプが点灯した。バス停に着いたのでバスは止まりドアが開いたのだが、なぜか誰も降りようとしない。

 おやっ、誰か間違って「止まります」ランプを押したのかなと思ったその時、他の乗客の合間を縫いながら後ろのほうからゆっくりと出口ドアに向かう老人が一人。ドア脇の握り棒をしっかりとつかみながら慎重に地面に降り立ち、去っていった。

 デジタル社会の到来とともに、現役世代のサラリーマン達は以前にもまして スピーディで高効率な仕事を求められている。しかし、その一方では頭も体も若いころのようには素早く正確に反応できなくなった高齢者達が、時に指さし確認を行い、時に小さな失敗や間違いを繰り返しながらゆっくりとマイペースで日常生活を繰り広げる。
 
 世界に類を見ないスピードで進む我が国の少子高齢化の進行は、全体として世の中の動きを緩慢でスローなものにしていくに違いない。スローライフの薦めなどとあえて言わずとも、ほっておいても自然とそうなるのが我が国の近未来社会であるのは間違いなさそうだ。

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