2009年8月1日土曜日

遊歩道北2号


市役所に行ったついでに地図をもらってきた。駅を中心にして半径500mの円を描いてみる。その中はほとんどが高層マンション、商業ビル、アパート、戸建住宅などが建て込んだいわゆる過密エリアである。

ころがこんな過密エリアからほんの50mほど離れた一角に、まるで都市計画から抜け落ちたようなちょっと不思議な小径がある。

道幅は1m足らずで距離は50~60mくらい。舗装はされておらず、道の両脇は住宅や高層マンションなどの建物も迫っていない。道に沿ってあるのはちょっとした竹林、木立、小さな鳥居、塀代わりの植え込みなどだ。

夕方この小径を歩いていると、下校途中と思われる中学生のグループ、犬の散歩をしている主婦、小さな子供の手を引いて歩いている親子連れなどとすれ違う。

この小径、市のほうでもちゃんと≪遊歩道北2号≫という名前を付けており、市が指定した市内散策コースの一つにも組み込まれている。

≪遊歩道北2号≫とはなんかロボットみたいな名前だが、市が名前を付けて散策コースに組み込んでいるということは、この道が多くの市民から愛されていることの証拠なのだろう。

都市にはたくさんの道がある。そしてそれらの道のなかには、足早に通り過ぎてしまうにはもったいないような道、少し遠回りでもわざわざ通りたくなるような道、幼子の手を引いてゆっくりと歩きたくなるような道が必ずある。

単に移動するためだけの道ではない、それ以上の価値や魅力を持った道である。

ここで言う価値や魅力とは、例えば、道沿いの花や木の葉などから季節の移り変わりが身近に実感できるとか、小さなお地蔵さんや祠があって心を和ませるとか、歴史や文化や先人の暮らしが偲ばれるなどだ。

東京の周辺だと鎌倉市、関西だと京都市などに行くとこうした魅力的な小径や小路がいっぱいあり、住民も外来者もそこを楽しむように歩いている。

結局、魅力的な街とは、魅力的な道が街のいたる所にある街と言っても良いのかもしれない。そして魅力的な道とは、住民と行政が協力しながら時間をかけて造り込んでいくものなのだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿