2009年8月12日水曜日

表参道の歩道



用事があり渋谷まで行ったので、ついでに表参道まで足を伸ばした。

表参道にはもう一年以上行っていないし、趣味のタウンウォッチングを楽しむという点でも外せない街の一つだから。

渋谷から地下鉄銀座線に乗り、表参道駅で下車。A5出口から地上に上がると表参道と青山通りの交差点脇に出る。で、ここから表参道を明治通り方面に向かって下ってみた。

気温は高いが湿度が低く、空も晴れ渡っていたので平日にもかかわらず人通りは結構多かった。しかも、この円高にもかかわらず欧米系の観光客と思しき外人さんを多く見かけたのは予想外だった。

歩道を歩く人の群れの中に、金髪や銀髪や赤毛色の白人が適度に混ざっていると、もうそれだけで街の雰囲気というか空気がなんとなくハイカラな感じになるから不思議だ。

A5出口から表参道を歩いて2~3分のところに、洒落たオープンカフェがあって席は8割がた埋まっていたが、例によって、歩道に面した外の席はほとんどが白人の外人客だった。

歩道や車道から見たときにその方が“絵”になるという理由で、店が意図的に白人客や黒人客を前列席に誘導するからだ。

言わば見え見えのやり方なのだが、周囲の景観と相まってヨーロッパの街のオープンカフェみたいな雰囲気があり、確かに絵にはなっている。

ところで、表参道が魅力的に見える理由の一つは間違いなく歩道の広さにある。歩道の幅員は7m近くあり、これは往復二車線の車道がとれる幅だ。しかも歩道の車道寄りには緑豊かな立派な木が植えられているので、葉っぱ越しの柔らかな木漏れ日が歩道に注ぐ。

歩道がこれだけ広いと、歩行者はすれ違う人に気を使うことなく、のんびりとした気分で歩くことができる。例えば親子連れの3人家族が手をつないで歩いてもあまり気を使わずに済むが、これは結構大事なポイントだ。

また、表参道の歩道はきれいなブロックやタイルで舗装されているが、歩道の幅が十分に広いためにきれいな舗装面が文字通り広がりをもった面として目に入ってくる。だから装飾舗装も良く映える。

ファサードなどのエクステリアに凝った有名ブランドのショップやファッションビルも、前面の歩道がたっぷりと広いから、そのデザインが一層活きる。このことは似たような店の多い代官山と比べてみると明白だ。

代官山はおしゃれな街だが、残念なことに表通りの歩道部分が狭くて貧乏くさい。結果、せっかくのおしゃれなショップや建築物も、表参道ほどには引き立たない。

さらに、表参道は六本木と並んで道路わきに駐車する車の中に欧州車の多い街だが、広くて美しい歩道は、それらの外車をも街空間を演出するための小道具やアクセサリーのような存在にしてしまう。

つまり、たっぷりと広い歩道は街の景観や雰囲気を全体としてリッチなものにするし、そこを訪れる来街者の心理や行動にもゆとりをもたらすのである。
たかが歩道、されど歩道という言葉が頭に浮かんだ。

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